コロンビア・ベネズエラ以南の南アメリカ大陸の南米料理を理解する上で重要なのは、この地がスペイン・ポルトガルによって植民地化されていたということです。特にスペインによる征服・統治は圧倒的な影響をこの地に残しています。チリ・アルゼンチン・ウルグアイなどスペイン系移民が特に多い南方の国々では、アサードと呼ばれる焼き肉料理兼イベントを好みます。アサードとは、週末などに家族や友人が家の中庭・パティオに集まり、牛肉・豚肉・鶏肉・羊肉等々を、時には丸ごと炭火で焼いて粗塩を振りかけて食べる一種のバーベキューパーティーで、大好物の肉を味わいながら楽しい時を過ごします。
パンまたはペストリーに挽肉やチーズ等の具材を詰めたエンパナーダと呼ばれる料理も、南米料理としては欠かせない食べ物です。エンパナーダは、もともとスペインのガリシア地方とポルトガルから普及していった料理で、ガリシア人入植者によって南米にもたらされました。国によって具材がジャガイモやカニになったり、包む生地が小麦粉製またはトウモロコシ製と変化したり、調理方法も焼くのと揚げるのとがあったり等々、独自の変化を遂げてきた料理です。
南米料理の代表的なお酒といえば、ペルーとチリで本家争いをしているブドウ果汁の蒸留酒・ピスコが挙げられます。また、ソフトドリンクの定番は、何と言ってもマテ茶です。南米原産のイェルバ・マテなどの葉や小枝の茶葉から出した飲料がマテ茶で、たっぷりとビタミンやミネラルを含んでいることから「飲むサラダ」とも呼ばれています。マテ茶の飲み方にも国によって流儀があり、お湯出し、水出し、砂糖の有無などいろいろです。例えば、冷水でいれたマテ茶に薬草やハーブを加え、先端に多くの穴が空いたボンビーリャと呼ばれる金属製ストローで飲むテレレという飲料は、特にパラグアイで好まれています。